「太平洋のかつぎ屋」


 いきなり「太平洋のかつぎ屋」ってタイトルを出されても、今の若いスカパー視聴者のみなさんには、なんのこっちゃらさっぱりですよね?

 これはですね、日活アクション映画全盛期に小林旭さん主演で作られた航空機モノのシリーズの1本なんすよ〜。
 まぁアキラの兄さんの映画だと「渡り鳥」や「流れ者」、それに「銀座旋風児」とか「暴れん坊」なんかの人気シリーズに隠れて、あんまし「航空アクション」モノは有名じゃあないんですが、60年に「都会の空の用心棒」、61年にこの「太平洋のかつぎ屋」と「都会の空の非常線」、62年に「嵐を突っ切るジェット機」の4本が作られていやす。

 なんせ昔からパイロットはオトコノコの憧れの職業。アキラ兄さんの映画の題材としてもピッタシなワケですが、このシリーズの意外なトコはパイロットって言っても、花形の戦闘機や旅客機じゃないんですな。
 たとえば「都会の空の〜」でアキラ兄さんはは山岳救助のヘリコプターのパイロットだし、この「太平洋のかつぎ屋」では運輸会社の輸送機パイロットなんつー渋い役なんすよ〜。まぁ「航空映画」っていうジャンルの中でも、この辺のヒコーキにスポットが当たるのはマレなんで、いろんな意味で貴重なワケです。

 ついでに言っとくけど、特撮マニアの方々も日活映画の航空機シーンは一応チェック入れといた方がええっすよ〜。

 さてストーリーはってーと、大手航空会社からオン出されたアキラ兄ィが、ライバル宍戸錠をはじめ、アメリカ・イギリス・イタリアン、国籍いろいろ肌の色もいろいろの、はぐれ者パイロットばっかしの運輸会社に入って、ケンカやら友情やら恋やら冒険やらに花咲かすっつー内容っす。安心して観てられる(いい意味で)日活プログラムピクチャーの1本ですね。

 ほんで「太平洋のかつぎ屋」ってタイトルの意味なんですが、世界を股にかける輸送機パイロットである「空のかつぎ屋」のアンちゃんたちにとって、「太平洋なんてでっかい湖さ!」ってワケなんですな。彼らの合い言葉もズバリ「レイク・パシフィック!」

 アキラ兄ぃの唄う「その名も高き、レイクパシフィック」って主題歌もカッコイイんですが、私の知る限りCDには未収録。コロムビア様、これ、カラオケとCDにちゃんと入れといて下さいね〜。


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