あっ! あの人がこんなトコに


 洋画や海外ドラマを観ていると、スタートレックに出演している役者さん、たとえばウィリアム・シャトナーやレナード・ニモイやパトリック・スチュアートがSTを彷彿とさせる役や、または意外な役柄で出ていて、思わずニヤリとさせられる事がある。
 映画自体はつまらなくても、その1カットだけで救われたような気がしちゃうのはSTファンの性か。そんなワケで今回のこのコラムは、トレッキー向きのST俳優さん出演映画を紹介してみよう。

 まずは我らがカーク船長、ウィリアム・シャトナー。この人は人気者だから、とにかくたくさんの映画やドラマに出てるんだけど、74年のロジャー・コーマン映画「ビッグ・バッド・ママ」が一番観てみたいねぇ。肝っ玉母ちゃんと二人の娘(美少女)の犯罪一家に、シャトナー氏が「女たらしの役立たず(笑)」というカーク船長まんまの役で絡むそうなのだ。残念ながら未見。
 私が観たやつでは、レスリー・ニールセン「裸の銃を持つ男」の原型となったテレビドラマ「フライング・コップ」にゲスト出演した時が一番おかしかったな。オープニングで「スペシャルゲストスター/ウィリアム・シャトナー」とクレジットされるんだけど、そのまま撃たれてすぐ死んじゃうの。本編出番無し(笑)。

 これはギャグだからいいんだけどさ、「レッドオクトーバーを追え」に出演した時のビヴァリー・クラッシャーことゲイツ・マクファーデンさんはかわいそうだったねぇ。主人公の妻の役だったんだけど、1カット1セリフしか出番が無く、しかもオープニングクレジット中にその唯一の出番は終わっちゃうのよ。トレッキーが「レッドオクトーバー」のビデオ観る時は、最初の3分で止めちゃっていいよ。

 一方、ターシャのデニス・クロスビーさんはSFX大作「ディープ・インパクト」にこれまた「主人公の少年のガールフレンドの母親役」という目立たない役で出てるんですが、こっちはもうちょっとセリフがあってよかったよかった(笑)。

 さてさてピカード艦長ことパトリック・スチュワート氏は、もっとちゃんと大きい役で出てますな。最近では「Xメン」のエグゼビア教授とか、あとメル・ギブソン主演の「陰謀のセオリー」に悪玉のCIA長官の役なんかが印象的。
 これって普通に観ると普通の悪役なんだけど、STフィルターを通すとなんだか現代にタイムトラベルしたピカード艦長が、変装して極秘任務しているようにも見える。おまけに日本語吹き替え版ビデオではこの役を加藤精三氏がアテているので、「オドーの声で喋るピカード」という珍品になってるのだ。

 そしてデータくんのブレント・スパイナーさんは、かの「インデペンデンス・デイ」に出演。ほら、あのエリア51にある秘密基地の、オタクっぽい科学者の役! あまりにデータとは印象が違うので日本では気付かなかった人も多かったようだが、アメリカの観客はあの科学者の登場シーンで「データがあんな格好してる〜」って事で爆笑してたらしいよ。
 もう一つ、ジャック・レモンとウォルター・マッソー共演のジジくさいコメディ映画「カリブは最高!」ではダンスホストのリーダー役で出てきます。キザでイヤミな男っていうヤな役なんすが、劇中歌ったり踊ったり司会したりと出番が多いので、スパイナーファンは必見! でも、どう観てもデータがホロデッキで遊んでるようにしか見えないんだよなぁ。

 転送部長オブライエンこと、コルム・ミーニー氏は小さい役でいろんな映画に出てるね。たとえば「ダイ・ハード2」でテロリストに爆破されちゃう旅客機の機長さんがオブライエン。ブルース・ウィリスの活躍虚しく派手にドッカーーン!と機体は爆発炎上。これがスタートレックだったら転送で危機一髪助かってるトコなんですが、そこはそれダイ・ハードなんでそのまま死亡。ちなみに吹き替え版ではテロリストのリーダー役が大塚芳忠氏なので、まるでデータの陰謀でオブライエンが殺されちゃったみたい。

 オブライエン繋がりで、ディープ・スペース・ナインの役者さんたちの出演映画を調べてみると、まずはシスコ司令官役のエイブリー・ブルックスさんが、ジョン・ウーの犯罪コメディ「ビッグ・ヒット」にギャングのボス役で出てるよ。ドスの効いた演技がまんまシスコ司令官なのがトレッキーにはおかしくてたまらない。ストーリーは日本人の女の子が誘拐されるお話なので、劇中ブルックスさんが「ダイジョウブダー、シンパイスナー」とか、片言の日本語を喋る珍シーンもあるよ。あと、この映画の主人公の名前がシスコで、さらわれる少女の名前がケイコってのは、わざとなんだろうなぁ。

 それから「資産家の親父が金の力で大学に戻り、もう一度青春を楽しむ」っていうストーリーの「バック・トゥ・スクール」っていう88年公開のコメディ映画があるんだけど、これのヒロイン役がテリー・ファレル様(ジャッジア・ダックス)。いやーほんと、若い頃のテリー嬢、めちゃくちゃ可愛い! 映画自体はクダラナイんだけど、このテリーちゃん観るためだけにビデオ借りる価値アリ。なんかねー、学園モノという事もあって、お腹に共生生物入れる前の、初々しい合体候補生ジャッジアを見てるみたいなの。おまけに仮装パーティーのシーンでは「豹柄衣装の原始人スタイル」なんておバカな格好までしてくれて、さすがは将来クリンゴンの嫁になる女! と思わず納得(笑)。

 一方、ドクター・ベシアのアレクサンダー・シディグ氏の初々しい姿は「ロレンス1918」で見れるのだけど、これについてはそのうちたじまさんが書くだろうからそっちにお任せ。

 ガラックさんのアンドリュー・ロビンソン兄貴は、クリント・イーストウッドの「ダーティ・ハリー」一作目、極悪犯スコルピオがなんといっても当たり役ですな。
 このスコルピオ、67年から74年にかけてサンフランシスコを震え上がらせた実在の殺人鬼「ゾディアック」がモデルで、またアンドリュー兄さんがこの役を、陰湿に悪く憎々しく熱演しすぎたもんだから、兄さんとスコルピオ=ゾディアックを混同した観客から嫌がらせを受けて、一時期はノイローゼになってたそうな。(現実のゾディアックが結局、逮捕されないままだったという事情もある)
 でもこれもSTフィルターを通すと、若かりし日にオブシディアン・オーダーの秘密諜報員として、地球人に化けてワルさをしているガラックさん、にしか見えないんだよね〜。

 最後はヴォイジャーから。メル・ブルックスのSFパロディ映画「スペースボール」に、トゥボォクのティム・ラス氏が出てるぞ。セリフはほんの一言だけなので見逃さないように(出てくるのは砂漠のシーン)。

 ドクターのロバート・ピカード氏は、ジョー・ダンテ一座の常連役者なので、「マチネー」とか「エクスプローラーズ」とか「インナースペース」とか「グレムリン2」とか、一連のダンテ監督映画にはたっぷり出ている。でも当時はまだ、髪の毛ふさふさしてたりするんで、一瞬誰だかわかんなかったりするんだよねー。

 シメはベラナ・トレスのロクサン・ドースンさん。「ダークマン3」で、主人公ダークマンに慕われる人妻役で出てるんだけど、ダンナが悪人の上、浮気性で家庭をかえりみない奴なので、劇中ドースン奥さまはかなり苦労しちゃってかわいそうなのだ。
 まるで「パリスと結婚しちゃった未来のベラナ」を観ているようだぞ!(笑)


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