第3話「敵か味方か? もう一人のスターピンキー」


○地球・はるかの家
はるか「うわぁ、星が綺麗…。街中でも、こんなに星がよく見える事もあるのね」
マリオン「はい、今夜は珍しく空気が澄んでますね」
はるか「ねぇねぇマリオンR、ピンキー星ってどの辺にあるのかなぁ?」
マリオン「…いえ、残念ながらピンキー星はどこにもありません」
はるか「え?」
マリオン「ピンキー星は、今から二万年前にブラックホールに飲み込まれ、消滅してしまったという事です。生き残ったピンキー星人はごくわずか…。私もキャプテン以外のピンキー星人を見た事はありません」
はるか「じゃあ、私がピンキー星人最後の一人かもしれないって事? ふーーん、あたしって宇宙的スケールで天涯孤独なんだ…」
はるか「はぁ…(ため息をつく)」
タルト「孤独ぅ? おねーさまにはあたし達がいるじゃないですかぁ」
はるか「……いや、でもねぇ」
タルト「なんだか寂しそうですね、おねーさま?」
   SE:ズルズルズル…(タルト・スライム化音)
タルト「おねーさまとだったらこのまま細胞融合しちゃってもいいですぅ」
   SE:にゅるにゅるにゅる(スライム音)
タルト「そうすれば、常に一心同体。もう寂しくないでしょ?」
はるか「や、やめんか〜〜! 腕に巻きつくなぁ〜!」
タルト「ふにゅふにゅふにゅ…」
はるか「あ、コラ、そんなトコに入って来ないで! ああああっ……」

○オープニング
   主題歌流れる。

○サブタイトル
はるか「第3話・敵か味方か? もう一人のスターピンキー」

○市街地
   SE:円盤浮遊音
N「突如、空にオルドビス軍の輸送円盤が現れた! そこに搭載されているのは…」
   SE:ボゴーーーーーッ!!(メガモンス・ボングコングの鳴き声)
シルル「おーほっほっほ! この超強力メガモンス・ボングコングのパワーなら、絶対スターピンキーQを倒せるわ」
デボン「今回こそうまくいってほしいもんッスね」
シルル「ボングコング、発進!」
   SE:ズズーーン(着地音)
群衆A「ああっ! またロボット怪獣が現れたぞ!」
群衆C「今度はゴリラ型か、なんて恐ろしいんだ!」

○書店
N「その頃、星野はるかは友人・仲琴菜と共にショッピングを楽しんでいた」
はるか「ねぇ、琴菜。まだぁ?」
琴菜「ゴメン、もう少しだけ…」
はるか「しまったなぁ…。琴菜と一緒に本屋に入ったりするんじゃなかった」
はるか「ねぇねぇ琴菜、新しく出来たケーキ屋に行ってみない? とってもおいしいって評判なんだよ」
琴菜「うん、うん、わかってる。あ、別冊宝島の新刊が出てる。買おうかな、どうしようかなぁ…」
はるか「あーー、だみだこりゃ」
   SE:ピピピピピピピピピピ!(通信音)
はるか「え、なに?」
N「はるかは琴菜に気付かれぬよう、そっとピンキーアイを右目に装着した」
   SE:カチッ!(装着音)
はるか「どうしたの、マリオン?」
マリオン「キャプテン、オルドビス軍のメガモンスが出現しました。機種はタイプ52・ボングコング。現在、地球の軍隊と交戦中です」
はるか「またぁ? 今月これで5回目じゃない。もういい加減にしてほしいわね。で、場所はどこ?」
マリオン「表示します」
   SE:ピッピッ!(レーダー音)
はるか「う、すぐ近くじゃない。…しゃあない、行きますか」
   SE:ポンポン(肩を叩く音)
はるか「琴菜、私ちょっとトイレ行ってくるね…」
琴菜「え? ああ。うん」

○外
はるか「ピンキーボード!」
   SE:スタッ!(はるかがボードに乗る音)
はるか「それっ!」
   SE:ビューーーン!(ピンキーボード飛行音)

○市街地
   SE:戦車砲撃音
   SE:ボゴーーーーーッ!!(ボングコングの鳴き声)
群衆B「早く来て! スターピンキーQ!」
群衆A「おおっ、空を見ろ! あれは!」
N「スターピンキーQの登場だ!」
シルル「来たわね! 食らえ、ロケットアーム!!」
   SE:ロケットアーム発射音
はるか「こんなもの!」
   SE:カキーン!
N「スターピンキーQはピンキーバトンでロケットアームを打ち返した!」
   SE:どがっ!
シルル「ぎゃん!」
デボン「自分の武器でやられるのって、スッゴク情けないッスね〜」
シルル「…う、うるさい」
はるか「とどめよ、ピンキー・グランドウェーブ!」
   SE:シュバババババババババ!
N「光の束がボングコングめがけて地を走る!」
   SE:大爆発音
シルル「だ、脱出〜〜っ!」
   SE:ひゅるるるるるる(脱出カプセル飛行音)
はるか「いぇーい!」
   SE:群衆の歓声 シルル「くうううううう、おぼえてろーーーーっ!」
N「こうして、戦いは今日もスターピンキーQの勝利に終わった」
はるか「さーて、急がなくっちゃ」

○書店
   SE:ビューーーン!(ピンキーボード飛行音)
   SE:スタッ!(ボードから降りる音)
はるか「はぁはぁ…。琴菜ぁ、ゴメン! 待った?」
琴菜「え? はるかちゃん、どこか行ってたの? 全然気付かなかった。つい本に熱中しちゃって…」
はるか「(少し呆れて)…あ、そう」

○月面・オルドビス軍前線基地
N「一方、ここは月の裏側に建設された、オルドビス軍臨時基地」
シルル「…ゴッドクラバー、ストラトリンクス、デッドバット、それにボングコング。なぜ? 最新鋭のメガモンスをこんなに投入してるってのに、どうしてスターピンキーQに勝てないのよ! 性能だって、3年前には比べ物になんない程パワーアップしてるはずなのにぃ!」
帝国兵C「陛下、さしでがましいようですが、やはり力押しするだけでは、スターピンキーQを倒すのは難しいのではないでしょうか?」
シルル「うーーん、そうかもしれないわね」
デボン「気付くのが遅いッスよぉ。あーあ、高いメガモンスをこんなに無駄遣いしちゃってもう…。もっと考えなきゃあ」
シルル「あんたねーー、そう思ってたんなら早めにアドバイスしなさいよ! 仮にも参謀なんでしょ!」
デボン「はぁ、一応そういう事になってるッスね」
シルル「参謀なら参謀らしく、作戦の一つも立ててみたらどうなの? でないと職務怠慢でクビにするわよ!」
デボン「ああっ、クビだけはご勘弁を。クニには身重の妻と、十を頭に5人の子供が…」
シルル「じゃ、がんばってスターピンキーQ抹殺計画を考える事ね! いいわね」
シルル「はい、わかりましたッスぅ」

○同・デボン私室
デボン「けっ、女王だからって威張りくさりやがってぇ。ガキのくせによぉ」
デボン「しかしまぁ、オルドビス軍参謀の地位は捨てがたいしなぁ。うーーむ、ここらで一つ、点数稼いどくかぁ。よし!」
   SE:電話のピポパ音
デボン「シークレットナンバー、3531の59と…」
デボン「あー、オレッスよオレ。オルドビス軍のデボンッス。久しぶりッスね」
   SE:相手の声(セミの声を加工)
デボン「実は、おりいって頼みたい事があるんスけどね。報酬の方も色付けるッスから」
   SE:相手の声(セミの声を加工)
デボン「そっかー、やってくれるッスか。じゃ、詳しい打ち合わせを…」
N「はたして、デボン参謀は何を企んでいるのか?」

○同・整備工場
   SE:クレーンや工作機械の作動音
N「…そして、ここは基地内にあるメガモンスの整備ドック」
帝国兵C「デボン参謀、ゴッドクラバーとボングコングの再生が終了しました。しかしメイン回路がやられているので、パワーは以前の二分の一しか出せません」
デボン「いやぁ、そんだけ出りゃ上出来上出来! んじゃ、次はザイネークを2体程出してもらえっかな」
帝国兵C「ザイネークですか? あんな旧型メガモンスでは、とてもスターピンキーQに太刀打ちできませんよ」
デボン「イイからイイから、頭数さえ揃ってりゃそんでOK!」
シルル「デボン参謀、ガラクタの寄せ集めと旧型メガモンスで、いったい何をするつもりなの?」
デボン「まー任しといて下さい、陛下。そんじゃま、一丁行ってみますかぁ」
   SE:円盤発進音

○はるかの家
N「そして地球では…」
はるか「たっだいまー!」
   SE:警告音
タルト「あ、おねーさま。大変ですぅ」
はるか「(うんざりした感じで)うえっ、またオルドビス軍なのぉ?」
マリオン「今回はやたらと大部隊ですね。ご覧下さい、東京・新宿・横浜に全部で4体のメガモンスが降下しました。機種はゴッドクラバーにボングコング、それにザイネークが2機です」
タルト「なぁんだ。みんな今までにやっつけた事ある奴ばっかしじゃない」
はるか「でも3ケ所同時ってのは困るわね」
マリオン「手分けしてあたりましょう。タルトPはスターブリームで横浜へ、キャプテンは東京へ向かって下さい。新宿のメガモンスは私がなんとかします」
はるか「マリオンが?」
マリオン「私にはこれがあります!」
   SE:カシャーン、カシャーン!(ユニット装着音)
マリオン「オプションユニット・ナンバー05、装着完了!」
  マリオン「アーマード・マリオンR!」
はるか「へぇ、かっこいい!」
マリオン「急ぎましょう」

○横浜
   SE:ギギギギギギ(ザイネークの鳴き声)
N「横浜の街を襲うザイネーク。旧型メガモンスとはいえ、その破壊力は強烈だ!」
   SE:破壊音
N「一撃でマリンタワーが吹っ飛んだ!」
   SE:スターブリーム飛行音
タルト「派手に暴れてくれちゃってぇ、許さないわよ! プロトン砲発射!」
   SE:プロトン砲発射音
   SE:爆発音
   SE:ギギーーーッ(ザイネークの断末魔)
タルト「あれぇ、もう終わり? あっけなーい」

○新宿
N「一方、こちらは新宿。再生ゴッドクラバーとアーマード・マリオンRの激しい戦いが続いていた!」
   SE:ギエエエエエエン(ゴッドクラバーの鳴き声)
マリオン「ウイングクローースっ!」
   SE:シャキーーーン!(金属切断音)
   SE:大爆発音
マリオン「ゴッドクラバーの破壊を確認、任務完了!」

○東京
N「そして、東京・丸の内のビル街。ここには再生ボングコングとザイネークUが降下していた!」
   SE:ピンキーボード飛行音
群衆A「あっ、スターピンキーQが来てくれたぞ!」
群衆B「がんばれー! スターピンキーQ」
   SE:ボゴーーーーーッ!!(ボングコングの鳴き声)
はるか「なによあれ、この間倒したばっかのゴリラロボじゃない。…ったく、やんなっちゃうなぁ」

○空
   SE:円盤浮遊音
N「一方、シルル女王は、今回の作戦をデボン参謀に任せ、自分は上空の母船から戦いの様子をモニターで見物していた」
シルル「デボン参謀の奴、どういう作戦を立てたのかしら? ま、お手並み拝見ってトコね」

○東京
はるか「さっさと片付けちゃおっと! 行くわよ、ピンキー・グランドウェーブ!」
   SE:大爆発音
はるか「はーい、一丁あがりぃ」
N「そのとたん、ボングコングの体に詰め込まれていた白い液体があたり一面に飛び散った!」
   SE:ビシャーーーッ!
はるか「いやーーん、なによコレ!」
N「液体は、あっという間に硬化していく」
   SE:パリパリパリパリ…(硬化音)
はるか「しまった!」
デボン「かかったッスね、スターピンキーQ! それはオルドビス軍が開発した特殊セメント。どうッス、動けないでげしょ? ぬふふふふふふふふ」
はるか「…う、…くっ」

○空
シルル「やるじゃない、見直したわ!」
シルル「さぁ、デボン参謀。今の内にザイネークUでスターピンキーQを踏み潰しちゃいなさい!」

○東京
デボン「へーい、了解しやしたぁ! んじゃ、覚悟はいいッスね?」
   SE:ズーン、ズーン(ザイネーク足音)
はるか「あーーん、マリオン、タルトぉ、助けてぇ」
N「だが、彼女たちはここにはいない! ピンキーチームを分断するデボン参謀の見事な作戦と言えよう!」
   SE:ズーン、ズーン(ザイネーク足音)
N「ザイネークUの250トンの巨体がはるかに迫る! 危うし、スターピンキーQ!」
群衆B「きゃあああ、スターピンキーQがやられちゃう!」
群衆C「ああっ、もうダメだぁ!」
N「その時である!」
F「フレンドリィ・パルサー!!」
   SE:ピカッ!
   (光のシャワーがザイネークUに降り注ぐ)
   SE:小爆発音多数
デボン「うわっ! な、なんスかっ?」
N「スペースバイクに乗った一人の美少女戦士が、空から舞い降りてきた!」
はるか「…あ、あなたは誰?」
   SE:スタッ!(バイクから降りる音)
F「愛と平和の戦士、スターピンキーF!」
はるか「スターピンキーF?」
F「そう。あなたと同じピンキー星人、スターピンキー・フレンドリィよ!」
はるか「ピンキー星人ですって?」
   SE:ギギギギギギ(ザイネークの鳴き声)
F「話はあと! まずはあいつをやっつけなきゃ!」
F「フレンドリィ・ビィーーーーーーム!」
   SE:ビーム音
   SE:爆発音
   SE:ギギーーーッ(ザイネークの断末魔)
デボン「ほい、脱出〜〜っ!」
   SE:ひゅるるるるるる(脱出カプセル飛行音)
N「その時、やっとマリオンとタルトが到着した!」
タルト「おねーさま!」
マリオン「大丈夫ですか、キャプテン」
はるか「うん、あの人が助けてくれたの」
F「よろしく、ピンキーチームの皆さん。私はスターピンキー・フレンドリィ。スターピンキーQがこの星でオルドビス軍と戦ってるって事を知り、急ぎ駆けつけたというわけ」
はるか「ありがとう、スターピンキーF。あなたは命の恩人よ」
F「宇宙の勇者・スターピンキーQの、かつての活躍は私も聞いてるわ。尊敬できる先輩に会えて光栄よ」
はるか「こちらこそ…。嬉しい…、私以外にもピンキー星人の生き残りがいたなんて…」
F「スターピンキーQ! オルドビス帝国の魔の手から宇宙の平和を守るため、共に戦っていきましょう」
はるか「もちろんよ、スターピンキーF!」
N「そして二人は、固い友情の握手を交わした」
タルト「おねぇさま、なんだかとっても嬉しそうね」
マリオン「ええ」

はるか「(モノローグ)私と同じピンキー星人…、スターピンキーF」
はるか「(モノローグ)……一人じゃ、一人じゃなかったんだ」

N「こうして、デボン参謀の再生メガモンス部隊を、スターピンキーFの力を借り、見事撃退したピンキーチームであった。新たなメンバーを加え、パワーアップしたピンキーチームの勝利の日は近い! がんばれ星野はるか! 戦えスターピン…」

○上空の円盤
シルル「(ナレーションに割り込む様に)えーい、うるさいうるさい! 一人くらい増えたってどーーって事ぁ無いわよ。オルドビス軍は無敵なんだから!」
シルル「それにしても、ホント惜しかったわねぇ、デボン参謀。もうちょっとスターピンキーQをペシャンコにしてやれるトコだったのにぃ…」
シルル「まさかあんな邪魔者が現れるなんてねー! 何が『すたぁぴんきぃ・ふれんどりぃ』よ。フザケた名前ね!」
デボン「くっくっくっ…」
シルル「何笑ってんの! 計画が失敗して悔しくないの?」
デボン「いやぁ、陛下。いいんスよ。あれでいいんス」
シルル「は?」
デボン「第一段階、終了っと。ぬふふふふふふふふふふ…」


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