○月面・オルドビス軍基地
テロップ「月面・オルドビス軍臨時基地」
今まではるかに壊された円盤やメガモンスの残骸が何体か転がっている。
シルル「うーーーーーーーーん。やっぱし力押しするばかりじゃダメみたいね」
シルル「少し作戦を変えてみるか」
デボン「気付くのが遅いッスよぉ。あーあ、高いメガモンスをこんなに無駄遣いしちゃってもう…」
シルル「あんたねーー、そう思ってたんなら早めにアドバイスしなさいよ! 仮にも参謀なんでしょ!!」
ビュワワワワワン!!
その時! 二人の頭上に突如、円盤が飛来。
サッと銃を構えるオルドビスの護衛兵。
シルル「待て!」
シルル、護衛兵を制する。
着陸した円盤から、一人の男が降りて来る。
男「偉大なる大銀河帝国の女王、シルル・ド・オルドビス陛下」
男「お目にかかれて光栄です。私はアンドロメダ星雲からやってきた『遊星大使』と申す者」
シルル「遊星大使?」
遊星大使「フフフフフ…」
○タイトル
○月面・オルドビス軍基地(少し時間経過した後)
立体映像を使って説明する遊星大使。
遊星大使「よろしいですか? スターピンキーQを倒すには、まずピンキー星人について知る事です」
○立体映像(解説図)
遊星大使「ピンキー星人は強い怒りや悲しみ、喜びなどで感情が高揚し、興奮状態になると脳からミラクル物質ピンキナドリンが放出されるのです」
遊星大使「ピンキナドリンが体内に行き渡ると、攻撃力、防御力、スピードが常人の数倍から数万倍までにパワーアップします」
シルル「(感心して)へーーーーっ」
遊星大使「超人化したピンキー星人を倒す事は、たとえメガモンス百台を投入しても不可能でしょう」
○月面基地
映像終わる。
遊星大使「ですが、その超人パワーの源である、ピンキナドリンの供給さえカットしてしまえば、スターピンキーもただの小娘。簡単に倒せます」
遊星大使、すっとシルルにカプセルを差し出す。
遊星大使「ご覧下さい。これこそ私の星で開発された新型バイオ兵器『アンチ・ピンキナドリン・バクテリア』、略称UPBです。これを使えばピンキナドリンの効果を完全に封じる事ができます」
シルル「ふーーん、ずいぶん親切じゃない」
シルル「で、あんたの目的は何なの?」
遊星大使「…フフフフ。ピンキー星人に恨みを持つ者は、陛下だけではないという事ですよ」
シルル「……まぁいいわ。ありがたくもらっとくわね」
シルル「さーて、どうやってこれをスターピンキーQに飲ませようかしら」
遊星大使「あ、陛下。それは飲み薬じゃありません。座薬です」
シルル「え?」(シルルは育ちがいいので、ちょっと赤くなる)
遊星大使「UPBは胃液に弱いので、直腸から吸収させないと効果が薄いのです」
遊星大使「では、私はこれで。成功を祈ります」
遊星大使、円盤に乗って飛び去っていく。
シルル「(ちょっと恥ずかしそうに)…座薬ってさぁ、お尻から入れるんだよねぇ」
デボン「そーですけど。まさか陛下、あんなあからさまに怪しい奴の言う事信用するん
スかぁ?」
シルル「試してみる価値はあるわ」
シルル「(恥ずかしさを振り切って)デボン参謀、命令よ! 地球に降りて、スターピンキーQのケツにこのカプセルをぶち込んでくるのよっ!!」
デボン「ええっ? 私がっすかぁ」
シルル「たまにはあんたにも役に立ってもらわないとね」
○宇宙空間
地球に向かって飛んでいくデボンの小型円盤。
デボン「…と言われても、モノが座薬だしなぁ」
デボン「この任務、ムチャクチャ困難だぞ」
○地球・はるかの家の前
屋根の上にスターブリーム号が乗っかったままのはるかの家。
デボン「ここか」
デボン「とりあえず屋根裏にでも潜入して、チャンスをうががうとすっか」
塀を乗り越えようとするデボン参謀。
ピピッ! 塀に取り付けられたセンサーが反応。
そのとたん、窓がガラッと開き、目からレーザー、指からミサイルを撃ちまくるマリオンR。
ドドドドドドドドドドドドドドド!!
デボン「うひいいいいいいっ!!」
あわてて逃げるデボン参謀。
○同・室内
タルト「なぁに、敵の攻撃?」
マリオン「今のは確か、オルドビス軍の最高幹部・デボン参謀…」
○路地裏
デボン「ぜいぜいぜい…。マリオンRがいるんじゃ潜入は無理だな」
デボン「何か別の手を考えないと」
遠くから学校のチャイムの音が聞こえてくる。
デボン「そうだ。報告書にあったぞ」
デボン「Qの奴、この星じゃ普段は中学生のフリをしてるんだっけ」
○学園
階段の踊り場下の小部屋。
「超常現象研究部」の看板が掛かっている。
織田「(声のみ)…と、いうわけで」
○同・部室内
織田「星野はるか君と、仲琴菜君が入部してくれた事により、部員数も5名以上となり…」
織田「本日より我が超常現象研究部も、正式なクラブ活動として無事認められたのであります」
部員たち「わーーーーっ」
…パチパチパチ。部員一同、喜んで拍手する。
琴菜「でも織田部長、私たちまだ中等部なんですよ。高等部のクラブに入ってもいいんですか?」
織田「うん、その事なんだが、飛鳥君が学校側と交渉してくれてね。特例扱いで許可が降りたんだ」
織田「いやー、彼女の交渉のうまさには僕も驚いたよ。みんな、飛鳥明子君の功績にもう一度拍手!」
…パチパチパチパチ。
はるか「(心の声)へへっ、これで放課後は毎日織田先輩と一緒にいられるもんね。嬉しいなっ!」
はるか、視線を織田先輩の方に向ける。
織田先輩、飛鳥の手を取り、「ありがとうありがとう、みんな君のおかげだよ」とか礼を言っている。
飛鳥も嬉しそうに織田を見つめている。二人、なんだかとても良い雰囲気。
はるか「(心の声)………んん?」
○校門前(夕方)
織田「じゃ、また明日ね」
織田、琴菜とはるかに手を振ると、バイクにまたがり、さっそうと去って行く。
はるか「!」
はるかの耳に通りの向こう側の女生徒の会話が聞こえてくる。
女生徒A「……ねぇねぇ、あれ、A組の織田君でしょ。結構いい感じね」
会話に神経を集中するはるか。
ナレーション「ピンキー星人は地球人の十倍の聴力を持っているのだ!!」
女生徒A「あたし、アタックしちゃおうかなー」
女生徒B「でも彼にはちゃんと彼女がいるっていう噂よ。ほら、同じクラブの飛鳥さん」
女生徒A「えーー、そうだったのぉ? 初耳ぃ」
それを聞いて、ガーーンとショックを受けるはるか。
不審そうな琴菜。
琴菜「はるかちゃん、どうしたの?」
○はるかの家
元気いっぱいではるかに飛びつくタルトP
タルト「おねーさま、おかえりなさーいっ!!」
…が、はるか、どよ〜〜んと落ち込んだ雰囲気。
タルト「あれ?」
マリオン「キャプテン、オルドビス軍の幹部・デボン参謀が地球に来ています」
マリオン「まだその目的は不明ですが、充分警戒を…」
マリオンもはるかの変調に気付く。
座り込んでため息をつくはるか。
はるか「はあああああああああ」
顔を見合わせるタルトとマリオン。
タルト「どうしちゃったのかなぁ?」
○学園(夜)
デボン「ぬふふふふっ、こっちならマリオンRもいないし…」
こっそりと女子便所に忍び込むデボン参謀。
デボン「ここで張ってりゃ、必ずスターピンキーQが現れる」
デボン「そこをすかさずこのL字形吹き矢で…」
(「デボンのさくせんけいかくず」を表示)/別紙参照の事
デボン「うーーん、完璧な作戦。我ながら頭いい〜っ」
デボン、大きなクシャミをする。
デボン「びゃくしょーーーーん!! しかし冷えるなぁココは」
○はるかの家(翌日)
はるか「行ってきま〜〜す」
元気無く家を出るはるか。不安げな顔で見送るタルトとマリオン。
タルト「うーーん、心配だなぁ」
タルト「昔からそうだけど、おねえさまって好不調の波が激しいよね」
マリオン「もしこんな時に、オルドビス軍の攻撃があったら…」
○学園・女子便所
…ガタガタ。
便所内で眠りこけていたデボン参謀。隣の個室の物音で目が覚める。
デボン「…はっ! スターピンキーQか!?」
あわててのぞき穴から確認する。…が、まったくの別人。
デボン「…違ったか」
デボン「そうだ、今の内に一度練習しておこう」
デボン、仕切り板の下の隙間から、吹き矢の管を隣の個室に伸ばす。
デボン「フッ!」
ビクッとする女生徒。
女生徒C「な、なんなの」
デボン「フッ、フッ」
デボン、さらに吹き矢の練習。
ちょうど女生徒Cの、股間の微妙な部分に熱い吐息がかかる事となる。
女生徒C「…あ、ああああ」
思わず悶える女生徒C!!
女生徒C、感じてしまった為、肛門の活約筋の力が抜け、放屁してしまう。
ぶぶっ!
デボン、吹き矢の管を伝って、モロに屁を吸い込んでしまう。
デボン「うげええええっ!! く、苦しい」
デボン、個室のドアを開け、外に逃れる。
そこを女生徒Dに発見されてしまう。
女生徒D「きゃああああああああああああああっ!」
響きわたる女生徒Dの悲鳴。
○同・廊下
女生徒D「チカンよ〜〜っ! 捕まえて〜〜っ!」
女生徒E「なんですってーーーっ!?」
女生徒F「いやぁっ、変態っ!!」
女生徒G「殺せ殺せ!!」
あわてて逃げ出すデボン参謀。
デボン「ひいいいいいっ、ドジったぁあああ」
○同・校舎の裏
デボン「ぜいぜいぜいぜい…。今回はロクな目に合わないな。…あ!」
覇気の無いはるかがノロノロと登校してくる。
デボン「ス、スターピンキーQ!!」
琴菜「はるかちゃーーーん!!」
はるかに駆け寄って来る琴菜。
琴菜「大変よ! 二階の女子便所に痴漢が出たんですって!!」
琴菜「いやーね。どこから入り込んだのかしら?」
はるか「…あ、そう」
はるか、反応が鈍い。それを観察していたデボン参謀。
デボン「ん? いつものパワーが感じられないな」
○同・教室内
はるかを問いつめる琴菜。
琴菜「どうしたの? はるかちゃん、昨日から変よ」
琴菜「いったい何があったの」
はるか「うん、実はね…」
○体育倉庫
マットの上に寝ころんでいるデボン参謀。
デボン「さーて、どうしたもんかなー」
シルル「(声のみ)デボン参謀、デボン参謀!!」
その時、シルルから通信が入る。
デボン「ギクッ」
シルル「いつまで待たすのよ? どうなの、Qにカプセルを使ったの?」
デボン「(心の声)待てよ…。別にUPBカプセルを使わなくても、あれだけ落ち込んだ状態ならピンキナドリンは放出されないよな。だったら同じ事だし、この上いらん苦労をせんでも…」
デボン「えーもう効き目バッチリ。Qの奴、パワー無くしてグッタリ状態っす」
シルル「よくやったわデボン参謀!! さすがは最高幹部だけの事はあるわね」
デボン「へへへー、まぁチョロイもんス」
○学園・教室
はるかの落ち込んでいる理由を聞いた琴菜。
琴菜「なるほど、そうだったの」
琴菜「でも、それってタダの噂でしょ。本当かどうかわからないわ」
琴菜「それに、そんな事でウジウジしてるなんて、はるかちゃんらしくない」
琴菜「…私は、元気なはるかちゃんの方が好きよ」
はるか「私らしくない…か」
はるか「そう、そうよね。ちゃんと確かめてみなくちゃね」
ちょっとだけ元気を取り戻すはるか。
○宇宙空間
円盤から釣り下げられている飛んでいる三体のメガモンス。
(ダブルクラバー、スパイダルクス、#4冒頭でやられた無名メカ)
シルル「この再生メガモンス軍団で、弱体化したスターピンキーQを一気に叩きのめしてやるわ! おーーーっほっほっほっ!!」
○放課後・超研部室
まだ飛鳥とはるか、琴菜の三人しか来ていない。
琴菜「はるかちゃん。ほら、今よ」
はるか「う、うん」
はるか、思い詰めた表情で。
はるか「あの、飛鳥先輩。ちょっとお話があるんですけど…」
○同
飛鳥「やーね、誰がそんな事言ってるのかしら」・・
飛鳥「いい? 部長と私ががつきあうなんて事、絶対にありえないのよ」
はるか「ええっ、どうしてですか?」
飛鳥「うん、それを説明するには、まずは一万年前の出来事から話す必要があるわね」
はるか「へ?」
予想外の話の展開に、困惑するはるかと琴菜。
飛鳥「私の前世は、古代ムー帝国の神官『ヴィシュラ・ドネイト・ネトア』だったんだ
けど、その頃レムリアからの侵略を受け、光の戦士と共に闘う事に…」
はるか「……………………………」
テロップ「一時間経過」
飛鳥「…だから私はオリハルコンの騎士・タトーと、その時来世で結ばれる事を誓いあったの。だからそれ以外の人とつきあうなんて事は無いの。わかった?」
はるかと琴菜、わけのわからん話を長々と聞かされてヘロヘロ状態。
琴菜「…は、はぁい、よくわかりましたあ」
はるか「わかりましたから、もうカンベンしてくださあい」
はるか「(心の声)…でも、良かった」
どーーーーーーーーん!!
その時、市街地の方からメガモンスの着陸音が響く。
織田先輩、部室に入って来る。
織田「みんな、またロボット怪獣が出たそうだぞ!」
織田「「(嬉しそうに)久々にスターピンキーQが活躍が見られるな」
飛鳥「ほら、部長は私よりスターピンキーQにご執心なのよ」
織田「だって、強いし、カッコイイし、それに可愛いじゃないか」
はるか「(心の声)え?」
織田「それにああゆうショートカットの娘って、僕の好みなんだよね」
はるか「(心の声・嬉しい喜び)ええええええええええっ!?」
その言葉を聞き、元気を取り戻したはるか。
○市街地
ビル街、遠景で。
はるか「(声のみ)Qフラッシャー!!」
どどどどーーーーーん!! 大爆発の火球が三つ。
○同
あっと言う間に戦闘終了。
たった1コマでやられてしまった再生メガモンス軍団。
炎上する残骸の中のたたずむ黒コゲのシルルとデボン。
シルル「な、なんでこうなるのよ…」
デボン「おかしいなぁ、なんで急に元気になったんだ?」
シルル「デボン参謀、ちゃんとUPBカプセルを使ったんでしょうね?」
デボン「えーー、そりゃもう確かに…」
と、デボンのポケットからカプセルがポロッとこぼれる。
シルル「あーーーーーーーーっ!!」
デボン「あ、やば」
あわてて脱出艇に飛び乗り、逃げ出すデボン参謀。
シルル「こらーーっ、デボン参謀〜〜っ!!!」
脱出艇にしがみつくシルル。そのまま上昇していく。
勝ち誇るはるか。
はるか「もんだどんだい!! 今回も絶好調よっ!」
マリオン「……いきなり元気になりましたね」
タルト「やっぱりおねーさまはこうでなくっちゃね」