○宇宙・ピロレフ星全景
−−−宇宙空間に浮かぶ土星の様な輪を持った惑星。
テロップ「ピロレフ星」
○スターブリーム号・コクピット
マリオン「このピロレフ星には銀河系最大の交易惑星です」
マリオン「情報を集めるには最適の所です」
はるか「ふーーん」
マリオン、ピロレフ宇宙港の管制塔と交信を始める。
マリオン「こちらコードナンバーPEE02712・スターブリーム号。着陸許可願います」
管制官「ええっ、ス、スターブリーム号ですって!? し、しばらくお待ちを!!」
マリオン「??」
○タイトルページ・見開き
ワーーーーーーワーーーーーー
ピロレフ宇宙港に降り立った、はるかたち三人、ピロレフ星人の大歓声を受け、驚いて立ちすくむ。
はるか「何よコレ、どーなってるの??」
○同・宇宙港
偉いさんらしきピロレフ星人に握手を求められるはるか。
ピロレフ大統領「おおお、ピロレフの救世主・スターピンキーQ! お懐かしゅうございます!!」
はるか「(困惑して)なんでこんなに歓迎してくれるのぉ?」
大統領「何をおっしゃいます! 10年前、オルドビス帝国の侵略から、この星を守って戦って下さった事。その御恩を、忘れたりするものですか!」
はるか「(マリオンに向かって)そ、そうなの?」
マリオン「そういえば、そんな事もありましたね」
大統領「ささ、こちらにお車の御用意が!」
有無を言う間も無く、迎えのエアカーに乗せられるはるかたち。
○ピロレフ星・市街
楽隊の演奏。ビル街を舞う紙吹雪。花火。
華やかにスターピンキーQの歓迎パレードが繰り広げられている。
マリオン「それにしても、これはちょっと予想外でしたね」
子供たちの歌声が流れる。
唄「強く正しく美しく、遠い星からやってきた、我らの救世主、その名もスターピンキー…」
はるか「ひええ、なんだか恥ずかしいよぉ」
タルト「いいじゃないですか。ほらほら、おねーさま。ここじゃ子供たちのあこがれの的なんだから、もっと手を振ってあげて!!」
はるか「あ、はいはい」
戸惑いながらも、群衆に手を振るはるか。
群衆「スターピンキーQ万歳! 万歳!」
はるか「…ま、悪い気分じゃ無いよね」
○同
群衆の中、歓迎パレードを憎々しげな目で見つめる黒いフードを被った女性。
シルル「ふん! いい気なもんね」
身分を隠して潜入したシルル女王である。
○同・裏通り
華やかなメインストリートを抜け、裏通りに入っていくシルル。
怪しげな店が立ち並び、すさんだ雰囲気。
その中にある酒場。入り口の所にデボン参謀が待っている。
デボン「あ、陛下。こっちッス」
酒場の中に入っていく二人。
○酒場
酒場の中には多種多様の宇宙人でごったがえしている。
船乗りや宇宙商人、ギャングたちが賭事をしている。
(スターウォーズの宇宙酒場みたいな感じ)
ピーーーーッ!! スパッ!!
超音波メスで首を切られ、倒れる昆虫型宇宙人。
酒場の客たち、一瞬驚くが、すぐに平静に戻る。
(こういう事には慣れている感じ)
男「一丁あがり、…と」
男、昆虫型宇宙人の首を拾い、出て行こうとする。
シルル「さすがは宇宙一の殺し屋アストロシャーク、さがしたわよ」
シャーク「あんたは?」
○同・奥の席
密談を交わすシャークとデボン、シルル。
シルル「この星じゃ、目立ちすぎてメガモンスは使えないからね。そこであなたを雇う事にしたわけ」
シャーク「…で、誰を殺るね」
シルル、テーブルにはるかの写真を置く。
シャーク「(グラスを傾けながら)…ほう。こいつはちいとばかし値が張る相手だぜ」
シルル「承知の上よ」
どん! とテーブルに札束を積むシルル。
デボン「(驚いて)ど、どっからこんな金が…」
シルル「兵隊を少し雇兵に売ったのよ」
デボン「えーーーっ!?」
○どこかの星の戦場
最前線に送り込まれたオルドビス雇兵部隊。
兵1「シルルさま〜〜〜!!」
兵2「ひええええええ」
(描写、ギャグっぽく)
○酒場
シルル「どうせ大量生産のクローン兵だし、いいじゃない」
デボン「でも、兵力が不足すると、今後の銀河系征服作戦に支障が…」
シルル「今はスターピンキーQを倒す方が先決よ!!」
シャーク「よし、決まりだな」
○月面・オルドビス軍基地
今回の措置に、さすがに兵士の間に不満が出始める。
兵3「シルル様も、アレはないよなぁ」
兵4「我々もどこに売られるやら、わかったもんじゃないぞ」
そこへ遊星大使が現れる。
遊星大使「親愛なるオルドビス軍兵士諸君! 私の話を聞いてほしい」
遊星大使「シルル女王はスターピンキーQにとらわれすぎではないかな。このまま彼女に従っていたのでは、オルドビス軍は再び崩壊してしまうぞ!!」
兵5「貴様、何を!」
幹部兵「いや待て。彼の言う事も一理ある。オルドビス軍全体の事を考えるなら…」
兵6「しかし、だからと言って女王様に逆らう事など…」
動揺する兵士たちを冷静に観察する遊星大使。
遊星大使「フッフッフッフ…」
○再びピロレフ星
超一流ホテルのスイートルーム。
はるか「うわうわうわ、ほんとにココ使っていいの?」
係官A「はい、最高級のおもてなしをせよという大統領命令が出ております」
係官B、台車に衣装ケースをたっぷり積んで入って来る。
係官B「これはピロレフ星政府からの献上品です」
はるか「え、プレゼント? わーいなんだろ」
はるか、開けてみる。中には美しいドレスが何着も。
はるか「きゃ〜〜〜〜〜〜!!」
係官A「他にも必要な物がありましたら、なんでもお申しつけ下さい」
係官B「では、私たちはこれで」
はるか「幸せーーーっ!!」
ピロレフ星人の接待攻勢に、すっかり浮かれているはるか。
マリオン「あのですね、キャプテン。我々がこの星に来た目的は…」
はるか「わ、わかってるわよ」
はるか「でもさぁ、ちょっとくらいいーじゃない。だって今晩、私のためにパーティー開いてくれるって言ってるしぃ。断るのも失礼でしょ?」
はるか「ねぇ、マリオン。どれ着て行こうかなぁ」
タルト「(呆れて)だめだこりゃ」
○歓迎パーティー会場・入り口
リムジンタイプのエアカーから降り立ったはるか(ドレス姿)に、ピロレフ星の新聞記者たちのフラッシュが焚かれ、人々の歓声が。
(ハリウッドのパーティーみたいな感じ)
はるか「(投げキッスを飛ばして)はぁーーーい」
タルト「あーあ、完全に舞いあがってるぅ」
はるか「人の事言えるのぉ?」
タルトとマリオンもちゃんとおめかしして来ている。
マリオン「(ちょっと恥ずかしそうに)いや、ま、我々は国賓ですし、これくらいは…」
○同・内部
会場にはQゆかりの品々、ピンキースーツのスペアなども展示されている。
立体映像で語られるかつてのスターピンキーQの活躍。
その前でスピーチをする大統領。
大統領「平和なピロレフ星に迫る、悪の侵略者・オルドビス帝国! その圧倒的な兵力の前に防衛艦隊は壊滅し、もはや希望は無いかに思えました。だがその時、銀河の彼方から我々の救世主がやってきたのです!! その名はスターピンキーQ!!」
はるか「ほらほらぁ、心配しなくてもこれで私の過去がわかるじゃない」
マリオン「でも、知りたいのはこれより前の部分でしょう?」
はるか「いや、そうだけどぉ」
大統領「ピロレフ星政府はこの功績をたたえ、ミス・スターピンキーQに勲一等落日大綬賞をおくります!」
まきおこる歓声と拍手。
はるか「いやー、ありがとありがと」
○同
式典も一段落し、パーティーは舞踏会に移っている。
はるかの前にピロレフ星人の青年将校が。
青年将校「ミス・Q、私と踊っていただけますか?」
ハンサムな青年将校にポッとなるはるか。
はるか「ええ、喜んで」
夢心地で青年将校とダンスに興じるはるか。
はるか「(心の声)えへっ、織田先輩には悪いけど、この人もカッコいいもんね」
青年将校「(はるかにそっと耳打ちする)ミス・Q、お話があります」
はるか「え?」
○同・テラス
人目を避け、テラスに出る二人。
青年将校「ミスQ、あなたはひどい人だ。婚約者の僕を置いて、宇宙の彼方は旅立ってしまうなんて…」
はるか「ええっ!? こ、こんやくしゃあぁ!!!」
青年将校「でも、貴方はこうして帰ってきてくれた。今こそ、あの時の約束を…」
はるか「ね、わたしホントーにあなたと婚約してたの?」
青年将校「何をおっしゃいます。あんなに堅く誓いあった仲じゃありませんか」
はるか「(心の声)…げ、困ったな」
そこへもう息咳ききって一人の青年がやってくる。
青年A「ちょおっと待ったぁ! 彼女と結婚するのはこの僕だ!!」
はるか「え!?」
青年A「憶えてますよね。激しく愛し合ったあの夜の事を!」
はるか「…な事言われても」
さらにもう一人。
青年B「君達、抜け駆けはずるいぞ!! 私こそ本当のフィアンセだ!」
青年将校「何を証拠に!!」
三人、揉め始める。
三人「いったい、どれが本当なんですか、ミス・Q!!」
はるか「う゛……………」
返答に積まるはるか。
タルト「みんな何言ってんのよ! おねーさまは私の物ですからねー!!」
突然、タルトが割って入り、更に話がややこしくなる。
(タルト、変形してはるかに巻き付く)
はるか「マリオ〜〜ン、助けてよぉ」
マリオン「さぁ? 私には人間の感情の機微まではわかりませんので…」
マリオン「恋愛問題に関してはアドバイスいたしかねます」
はるか「うーー、そんなぁ!!」
(この辺のドタバタなるべくギャグっぽく)
青年B「ミス・Q! 思い出して下さい。貴方は私にこう言ってくれたじゃないですか。“今度エルデ星に一緒に行きましょう”って」
はるか「えっ、エルデ星って何?」
青年B「?? ピンキー星崩壊後、あなたが暮らしていた星ですよ」
はるか「私が暮らしていた星!?」
−−−と、その時。いきなり会場の照明が消え、真っ暗になる。
はるか「何!?」
闇を切り裂き、走る超音波メス。破壊されるパーティ会場。
逃げまどう人々で大パニック状態。
はるか、素早くピンキーアイを装着する。
はるか「サーチ!!」
ピンキーアイの赤外線映像に、闇に潜んで攻撃をかけるアストロシャークの姿が映し出される。
はるか「何よあいつは」
マリオン「気をつけて下さい!! あれは宇宙一の殺し屋、アストロシャークです」
はるか「よぉし!」
はるか、ピンキーバトンを構え、攻撃をかけようとする。
マリオン「待って下さい!! シャークの武器、超音波メスにその服では危険です!! ピンキースーツを装着して下さい」
マリオン、展示されていたスーツのスペアを持ってくる。
青年将校「ミス・Qには手出しさせないぞ!」
青年将校、サーベルを抜き、果敢にシャークに立ち向かっていく。
シャーク「バカめ!」
青年将校「ああっ!!」
超音波メスで胸を切られる青年将校。
はるか「しまった!!」
たまらず飛び出していくはるか。
マリオン「キャプテン、スーツを!!」
はるか「そんな暇無いわよ!!」
シャーク「そこか!!」
超音波メスを乱射するシャーク。
ナレーション「ピンキー星人星野はるかは、激しい怒りによって興奮状態に達した時、大脳からミラクル物質ピンキナドリンが全身に放出され、超人パワーを発揮する事ができるのだ!! GO! スターピンキーQ!!」
超音波メスを紙一重で避けながら、(おかげで服はボロボロ)、アストロシャークに迫るはるか。
シャーク「は、早い!! そんな!!」
はるか「ピンキー・クラッシュ!!」
どん! ピンキーバトンに突かれ、シャークの胸のプロテクターが破壊される。
はるか「え?」
その時、明かりがつく。
あらわになるシャークの情けない正体。
シャーク「(泣き出す)びえええーーん」
それを見て怒るピロレフ星人たち。(倒れていた青年将校も起きあがる)
青年将校「これがアストロシャークの正体だったのか…」
青年A「なめやがって〜〜!!」
青年B「許さんぞ!!」
シャーク「えーん、ごめんよー」
青年将校「こいつめこいつめ」
ピロレフ星人たちにフクロ叩きにされるシャーク。(ギャグっぽく)
はるか、その光景を横目に見ながら、
はるか「エルデ星…、私の育った惑星」
はるか「こりゃあ、行ってみるしかなさそうね」